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変化(14)
楡崎さんと龍が近所の公園で仲良くなっていたなんて、全然知らなかった。
この港町には男性の出産ができる施設がないらしく、わざわざ月野総合病院に事前入院して出産したそうだ。
その頃会っていたらしい。
「こっちにどうぞ、まだ勇矢と仕事の話が終わってないみたいですし。」
一度裏へ行った楡崎さんは、戻ってきてこう誘ってくれた。
そこは応接セットが置かれていて、窓からは海が見える。
「海、いいですね。うちは、住み良いけど、和む風景とかとは無縁ですからねぇ。」
「田舎だと、変わり映えしなくて海も見飽きて来ちゃいますよ!まぁ、うちは水産加工するんで離れられないけど、都会もいいじゃないですか。あの公園、好きでしたよ。うちは目の前海だし、チビがいるから、安全な遊び場が欲しくて。」
楡崎さんは、コーヒーを淹れてくれた。
おなかぱんぱんなんだけど。
それでもいい香りだったので、ついつい飲んだ。
ん、んまい。
「加工場と自宅の間にフェンスで囲って、あの公園みたいなところが欲しくて遊び場を作りましたよ。」
「へぇー。」
「うちの庭の公園作る時も、北條さんに色々お手伝い頂いたんです。造園とか遊具の施工業者の手配とか。」
「……あ、そういう業者選びとかは慣れてるから、どんどん使ってやってください。それにしても、楡崎さんのほうがすごい商売上手らしいですね。今ネット販売のほうは売れすぎて販売ストップとか。直売所じゃないと買えないからって聞きましたよ。」
「たまたまです。今お取り寄せのブームなんですかね。たまたまが、ヒットしただけなんで僕がアイデア出したのは、取っ掛りだけだし。こんな観光もない土地だから、単に魚の加工品だけ買いに来る人も少ないし。ネット販売ならどこでも注文受けたら発送出来ますしね。でも商品が足りずに販売ストップだから、なんとも情けないですけど。スーパーとかにも卸してる数が増えたんで、トラックが間に合わなくなりそうで。また北條さんに色々お知恵を拝借してるみたいです。」
「……羨ましいなあ。私も子育て中じゃないなら、楡崎さんみたいにガンガン働きたいなあ。」
「……あれ。北條さんが紹介してくれたんですよ。ベビーシッターの会社。僕も子守りが当たり前と思ってたんですけどね。僕も会社で働くから、昼間はベビーシッター雇いました。保育園とかこども園はいっぱいだったし。」
「…………。」
「北條さんと一緒に、お仕事されてはいかがですか?」
ちょうどその時、裏のほうのドアが開いて、楡崎さんのパートナーさんと悠斗くんがやってきた。
楡崎さんのパートナー……勇矢さんは、俺を見てビックリした顔をした。
藍翔さんと俺を交互に見て、「そっくり!」を連発するけれど、そんなに似てるとは思わない。
藍翔さんは、すごく綺麗な人だよ。
俺、当たり障りのない顔つきだし。
「……悠斗くん、俺と藍翔さん、そんなに似てる?」
「……まぁ。龍が似てると言ってたので、似てるんじゃないでしょうか。ていうか、優一さん子供が増えましたか?」
そう。
あれからずっと、楡崎さんちのボクが俺の首に抱きついて離れないわけよ。
藍翔さんからは平謝りされてるけど、俺は好きで抱っこしたままだから、いいんだけどね。
「えへへ。かわいいでしょ?涼矢くんって言うんだって。輝と亘より二ヶ月半くらいお兄ちゃんかな。」
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https://estar.jp/page/info/congratulations/star/25628463?star=20000
この度はスターを20,000以上頂戴致しまして、ありがとうございます。
それに本棚登録もキリよく大台1,000を超えました、感謝致します。
御礼特典として、悠斗くんの苦悩に追加のストーリーを公開致しました。
既に……一頁公開しておりまして、ご存知の(本棚登録頂いてお知らせの行った)方はそちらにもお星やスタンプをありがとうございます。
数頁続きますので、しばらく(数日中)お楽しみ頂ければと思います。
https://estar.jp/extra_novels/25642365
スター꙳★*゚20,000御礼特典
2020.10.06
(※この頁は2020.10.07公開)
あ、こちらへどうぞ!も昨日のアクセスが増えてまして、合わせてありがとうございます。
<(_ _)>
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