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変化(15)
「涼矢くん。うちの龍と仲良しなんですよ。優一さん。」
「え?」
龍の不思議な話を聞いた。
産まれてくる前からの邂逅……か。
やっぱり龍はアルファ……なんだろうか。
たぶんそうだろうな。
アイツなかなかスーパーお兄ちゃんだしな。
園でもモテてるし。
確かにアルファとオメガには、不思議な何かがあるのは自分でも分かる。
でも5歳で既にそんな邂逅をしてるなんて、すげーな龍……なんて、ちょっと他人事なんだけど。
だって俺なんて二十代後半だったし、気づいてなかったし。
俺ってよっぽど鈍なヤツだったんだろうな。
涼矢くんのお尻をぽんぽんと撫でながら、悠斗くんを見上げる。
「もう仕事の話は終わった?」
「はい、お待たせしてすみません。そちらはいいお土産、ありましたか?」
「うん、みて、こんなに買っちゃった。」
ソファにある白いレジ袋がパンパンなんだけど、悠斗くんはまだ買い足そうかと言ってくる。
「うん、お土産にもうちょっと買ってもいいかなって思ってた。うちでも食べるしね。」
「じゃあ、こういうのは箱買いしちゃうか。楡崎さん箱買いOKですか?」
「あ、ええ、はい。勇矢、これの箱入り持って来てみてよ。」
出してくれたのは、サバ缶。
試食したら味付けがうち好みで、即買いしたの。
箱には24個入りでもちろん出来たてだから期限も長いし、非常食としても取っておきたいし多めに買った。
あと色んな種類の詰め合わせ商品もあって、これもあるだけ購入した。
売り切れ寸前で、5箱しかなかったけど。
暫くは台風来ても大丈夫そうだ。
まあ、非常食としてより、全部普通に食べてしまいそうな気がするけどね。
車に積んで貰って、直売所を出ることにした。
涼矢くんを引き剥がすのに苦労したけど、藍翔さんと連絡先の交換をして、アプリで龍の画像を渡して、龍の画像をスマホで見て気が削がれてる間に、お暇をした。
やっぱり龍に惹かれてるらしいな。
龍のとこにくるのか、うちのを婿に出すか。
ははは、なんか楽しみが増えたな。
「じゃ、遅くなりましたけど、墓参りに向かいましょうか!」
ハンドルをきり、運転する姿がかっこいい。
しばらく運転する悠斗くんに見惚れながら、会話を楽しんだ。
さっきの楡崎さんの話とかね。
悠斗くんとドライブデートなんて、うん、二人でなんてなかったから、遅ればせながらものすごく楽しくなってきた。
このドライブがずっと続けばいいのに、なんて思ったりもする。
「優一さん。……そろそろ着きますよ。」
「あ、んあ?」
せっかくのドライブデートなのに、ヨダレ垂らして寝るとか。
いくらおなかぱんぱんでも寝るなよな。
自分を呪った。
すまん。
悠斗くん。
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