第39話……変化

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変化(17) 線香の煙が太く白い筋を作り、くゆりながら高く空へと昇っていく。 願わくば……ここで眠る二人の今も、永遠(とわ)に共にありますように。 そう願いを込めて深々と手を合わせた。 それから軽く自己紹介と、子供らが四人いること、悠斗(はると)くんとずっと一緒に居たいことを心の中で吐露し、あんまり出来たパートナーでないことを謝りつつ、できればこれからの俺らを見守って欲しいことを願った。 随分と長く願いすぎたかと心配になり……、ふと顔を上げると、俺のすることをじっと見つめて待っていた悠斗(はると)くんが、慈愛に満ちた顔になって見惚れるような微笑みを見せてくれた。 カッコよすぎるんだけど。 ドクドクという心臓の跳ねる音がうるさい。 すると、不意に肩を寄せられて俺は悠斗(はると)くんの腕の中に抱きしめられた。 少しずつ抱きしめた腕にチカラを込められる。 その加減が心地好くて、されるがままに揺さぶられている。 「優一さん。」 「うん。なに?」 「長生きしましょうね。」 「うん。」 「好きです。」 「うん。俺も。……好きだ。悠斗(はると)くんが俺を思うより……君が好きだ。」 「……たぶん、それ、間違ってます。」 「違わない。認識変えて。」 少し背伸びして、悠斗(はると)くんの頭を下に引き寄せて、唇を奪う。 掻き抱くように悠斗(はると)くんと抱き合っていたら、墓前というのになんだか頭の芯がボーっとしてきて、理性が飛びそうになってる。 その時遠くで車のエンジン音が聞こえた。 霊園の駐車場に一台乗り入れて来たようだ。 離れがたいけれど、片方の手だけ繋いだまま身体を離した。 悠斗(はると)くんは勢い良く身体を離したのだけど、俺が強く手を握ったまま、離さなかった。 その手を少しあげて、その腕についている腕時計を見る。 時刻は15:30 「……ヤバくない?もう15:30」 「ヤバくないです。」 「……こども園、迎え行かなきゃ。」 「大丈夫、うちの親に頼んでますから。」 「……でも帰んないと。」 「ごめんなさい。」 「なに?」 「宿、とりました。」 「……は?」 「……だって。」 「だって?」 「もうちょっと行きたいとこあるし、……それに。……二人でお泊まりしたかったんですもん。」 霊園を後にして、さっきのぼってきた山道を今度は下っていく。 したかったんですもん……て。 そんなんで子供置いて泊まるとか。 いいわけないと思うんだけど。 泊まりって言っても着替えもないし。 行きたいところってどこなのかな。 一度山道を下ってしまい、今度は山と並行に走っていく。 しばらくするとさっきの山道よりも緩い坂の、大きめの脇道へと入っていく。 目印のように、曲がり角に大きな桜の木が枝を伸ばしている。 季節になれば、相当立派な見ごたえのある花を咲かせるのだろう。
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