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変化(13)
「涼矢捕まえたよ。ごめんね、こっちで見てるからお昼行ってきてよ。」
奥の誰かにそう声をかけてる。
「あ、あなたのお子さんでしたか。かわいいですねぇ。一歳くらい?」
「ええ、一歳と二ヶ月……になったかな。もう……やんちゃで困りますけど。」
「わかるわかる。歩き出したら捕まえるのが大変ですもんねー。ボクもイタズラさんなのか。人見知りしなくていいですね、みんなに可愛がられるでしょう?」
親がいるのに知らない俺に抱きついてるなんて、よっぽど人懐っこいんだな。
「いえ!コイツいつもは僕にべったりで、物凄い人見知りなんです。まさかお客様に抱きつくなんて、初めてでビックリしてます。申し訳ありません。」
「えええ?人見知り?うそ。無茶苦茶抱きついてるよね?パパんとこ行くか?」
「ほら、涼矢!おいで。お客様の迷惑だよ。」
「迷惑じゃないけど。ん?俺のこと、気に入った?グエ、クビ絞まってるってば。あはは。連れて帰りたいなぁ、ウチくる?うちにはねぇ、お兄ちゃんとか、同じくらいのお友達もいるぞ?」
「お子さん、多いんですか?」
「うちは四人います。全部男の子でね、下がもうすぐ一歳の双子なんです。」
「四人!下が双子!それはすごい。うちはまだ一人なんで、兄弟は欲しいんですけどね。なかなか。一番上は何歳なんですか?」
「一番上は今五歳で、来年小学生になるんですよ。」
「やっぱり間隔空けずに産んだ方がいいのかなぁ。」
「失礼…ですけど、産んだの……あなたですか?」
「ふふ、そう、僕オメガなんです。」
「あ、いや、ごめんなさい。深い意味はなくて……俺もですから。俺もオメガです。」
「えー?!そうなんですね。こんな田舎だと、オメガの男性に会うなんてないから。」
「でもいいですね。お子さんも会社に連れてきてお仕事されてて。」
「あ、同じ敷地内のこの裏のところに家があって、いつもはベビーシッターさんに預けてるんですよ。たまに僕のところに脱走したりするんですけどね。」
「えー、じゃあ楡崎さん?」
「はい、楡崎といいます。」
「そうだったんですか。おれ……じゃなくて私、北條と申します。うちのパートナーがお取引きをさせて頂いてるみたいで、今事務所のほうにお邪魔してるんです。お世話になります。」
「ええええ?!北條さん?北條さんって、じゃあ……龍くんの?!」
「は?龍をご存知なんですか?」
「いや、ご存知も何も……、そうでしたか。龍くんの。」
おーい。
誰か説明してくれ──────。
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「悠斗くんと優一さん」の読者様へ
楡崎藍翔&涼矢親子と北條龍の関係につきましては
「こちらへどうぞ!」
https://estar.jp/novels/25650077
第12話 楡崎家第一子の場合
に登場致します。
第12話のみ単体でお楽しみ頂けますので、未読の方はどうぞ宜しくお願い致します。
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