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変化(20)
「楽しみだな。でもさ、子供達が大きくなって来たらどうする?龍はアルファポイだろ?薫はどうかな。輝と亘だってオメガかもしれないし。これから産まれてくる子にもオメガがいるなら、発情期対策は必要だけど。」
「一応部屋は全室防音とフェロモンガードを設置する予定です。もしくは……。」
もう一棟、俺達の発情期用の離れを造るという案。
こぢんまりした平屋の家を建てて、ベビーシッターに頼む時用に物理的に離れて暮らすというもの。
家具家電を揃えて最小限の生活が出来るような家を建てれば、発情中の様子を子供に見せなくて済む。
子供の発情期の隔離部屋にしてもいいし、子供が巣立てば俺達二人で住むには丁度いいから、母屋を無くして離れに住めばいいし。
発情期が重なることもあるだろうし、自宅のフェロモン対策と離れを造る案は、並行することになった。
まだまっ更な未来予想図だ。
いくらでも変更はできる。
「……ところで、マジで今夜、お泊まりなの?俺ら着替えも何も持ってきてないだろ?帰ったほうが早くない?」
「結婚式もハネムーンもせずに働き通しだったんですから、一泊くらいいいじゃないですか。」
そりゃ今まで旅行なんて、一回も行ったこともなかったけどさ。
じゃあ着替えを買いに行きましょう!なんて言われて、町の商業施設に行った。
パンツがあればどうとでもなったんだけど、わざわざお揃いの……(いや、多少色とデザインが違うんだけどね)Tシャツとか買ってきた。
なんか玄関の出迎えが、恥ずかしかった。
女将をはじめ、ズラっと並んだ宿のスタッフ。
平日とはいえ、客は本日は俺らだけ。
凄い広ーい和室に通された。
部屋にも源泉垂れ流しの露天風呂がついていて、贅沢な部屋だった。
風呂にも入り、夕食は部屋で摂った。
俺は食前酒をおちょこ一杯もらっただけで顔が赤くなった。
悠斗くんは食前酒と、ビールを一本。
料理も熱いものは熱く、冷たいものは器まで冷たく出てきて、昼に食べ過ぎた俺としては、美味しくて量も丁度いい料理だった。
悠斗くんは〆にごはんをおかわりしていたけれど、いつもよりは少なかったかな。
「……量、足りた?」
こっそり聴くと、にんまり笑われた。
「……大丈夫です。今夜、別のものをたんまり頂きますんで、覚悟しといてください。」
え────俺、食べられんの?
なんの揶揄だよ。
洒落にならん。
耳まで赤くなって、俺バカみたいじゃん。
食前酒の酔いが回ったのかな。
あー暑い!
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