第39話……変化

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変化(20) 「楽しみだな。でもさ、子供達が大きくなって来たらどうする?龍はアルファポイだろ?薫はどうかな。輝と亘だってオメガかもしれないし。これから産まれてくる子にもオメガがいるなら、発情期対策は必要だけど。」 「一応部屋は全室防音とフェロモンガードを設置する予定です。もしくは……。」 もう一棟、俺達の発情期用の離れを造るという案。 こぢんまりした平屋の家を建てて、ベビーシッターに頼む時用に物理的に離れて暮らすというもの。 家具家電を揃えて最小限の生活が出来るような家を建てれば、発情中の様子を子供に見せなくて済む。 子供の発情期の隔離部屋にしてもいいし、子供が巣立てば俺達二人で住むには丁度いいから、母屋を無くして離れに住めばいいし。 発情期が重なることもあるだろうし、自宅のフェロモン対策と離れを造る案は、並行することになった。 まだまっ更な未来予想図だ。 いくらでも変更はできる。 「……ところで、マジで今夜、お泊まりなの?俺ら着替えも何も持ってきてないだろ?帰ったほうが早くない?」 「結婚式もハネムーンもせずに働き通しだったんですから、一泊くらいいいじゃないですか。」 そりゃ今まで旅行なんて、一回も行ったこともなかったけどさ。 じゃあ着替えを買いに行きましょう!なんて言われて、町の商業施設に行った。 パンツがあればどうとでもなったんだけど、わざわざお揃いの……(いや、多少色とデザインが違うんだけどね)Tシャツとか買ってきた。 なんか玄関の出迎えが、恥ずかしかった。 女将をはじめ、ズラっと並んだ宿のスタッフ。 平日とはいえ、客は本日は俺らだけ。 凄い広ーい和室に通された。 部屋にも源泉垂れ流しの露天風呂がついていて、贅沢な部屋だった。 風呂にも入り、夕食は部屋で摂った。 俺は食前酒をおちょこ一杯もらっただけで顔が赤くなった。 悠斗(はると)くんは食前酒と、ビールを一本。 料理も熱いものは熱く、冷たいものは器まで冷たく出てきて、昼に食べ過ぎた俺としては、美味しくて量も丁度いい料理だった。 悠斗(はると)くんは〆にごはんをおかわりしていたけれど、いつもよりは少なかったかな。 「……量、足りた?」 こっそり聴くと、にんまり笑われた。 「……大丈夫です。今夜、別のものをたんまり頂きますんで、覚悟しといてください。」 え────俺、食べられんの? なんの揶揄だよ。 洒落にならん。 耳まで赤くなって、俺バカみたいじゃん。 食前酒の酔いが回ったのかな。 あー暑い!
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