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「テスト死んだわ〜」
私たちが追いつくとすぐに、ユキはお決まりのセリフを口にした。
私と青は顔を見合せる。
これは詐欺だ。
私たち2人は阿吽の呼吸でスタスタと足をはやめる。
「えっ、ちょっと!酷くない!?」
ユキは慌てて着いてきた。
「はいはい、ユキの死んだはもう信用しないから。そんなこと言って、どうせまた順位1桁でしょ」
私は、じとっとユキを睨みながら言う。
「いや、なつもだよ。2桁もすごいんだからね」
青はこちらを睨んで言った。
そういえば、青は数学が致命的に出来ないと前に言っていた。
「赤点回避に必死の私に失礼だよ……」
青がかなり沈んだ声で言った。
確かに、青は普段からテンションが高い方ではないが、今日はさらに低い。負のオーラが出ている。
「ま、まあ最終日に数学と英語はキツかったよね……」
「関係ないよ、私には無理なんだ……」
私のフォローも虚しく、青はさらにジメジメと沈んでいく。
目の前で信号が赤になり、立ち止まったユキはそのままくるりと振り向いた。
「じゃあさ、今度みんなで勉強会しようよ!そしたら次は大丈夫だって」
勉強会ねぇ……。
私もぜひ教えてもらいたいところだし、願ったりだが……。
私はちらっと青の方を見る。
「……テスト終わったのに勉強したくない」
「「おい」」
出会ってから1番、私とユキの声がそろった瞬間だった。
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