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信号が青に変わった。
「いや、さっきまで嘆いていた人の言葉とは思えないわ」
歩き出しながらユキが言った。
私も、さっきと変わってユキに加勢してふんふんとうなずく。
「だって、なんかもう走れたらいっかなぁって」
そう来たか。
何を隠そう、この見た感じ大人しめの少女、実はバリバリの陸上部エースなのだ。
運動音痴を極めている私からすると、そのセリフが言えるのが羨ましい。
「え、でも大学はどうすんの」
私は少しいじわるをしたくなって言った。
「うわぁぁそれは言わないで!」
青が空を見上げて嘆いた。
「大学かぁ……」
高二になって半年近くたったが、受験なんてまだまだ遠く感じる。
この時が永遠に続くように感じられる。
「まあ、なんとかなるっしょ!」
ユキは能天気にそう言って、足を止めた。
顔を上げると、いつの間にか駅に着いていた。
ここから先は、3人の帰り道は別々なのだ。
「またね!青、勉強頑張れ!」
「バイバーイ、留年とかやめてよー」
「はいはい、わかったわかった。また明日」
秋晴れの少し涼しくなった空の下、私たちは手を振ってわかれた。
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