12月16日

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正直、私には吹奏楽のことはわからなかった。 なつに何か声をかけたかったけど、何をいえばいいのかわからない。 そのまま、息苦しい沈黙が続いた。 その代わり、私は自分の言いたいことをまとめる十分な時間を得た。 私は1度深呼吸をしてから、先を歩くなつの背中に語りかけた。 「……この前の文化祭、なつ1人で吹いてたとこあったじゃん。私、そこめっちゃ好きでさ。綺麗だなぁって。すごいなぁって思ってた」 なつは一瞬ぴくっと顔を上げた。 「無理する必要はないと思うの。できない時だってあるし。でも、私はまたなつの音聞きたいから、良かったら続けて欲しいなって。なつのファンとして思うよ。もっと自信持って」 なつは立ち止まって肩を震わせていた。 でも、さっきとは違う震えだった。 「ファンって何?大げさだな〜ふふっ」 なつはくるりと振り返って、嬉しそうな笑顔でそう言った。 「そっか、うん、でもそうだよね」 なつは空を見上げた。 空にはもう星が光っていた。
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