2人が本棚に入れています
本棚に追加
9月22日
「なつ、テストお疲れ!一緒に帰ろ〜!」
ユキを待って校門の前でスマホをいじっていると、突然後ろから強めに背中を叩かれた。
どわっ!という変な声をかろうじて飲み込んでくるりと振り向くと、ユキが歯を見せてにかっと笑っていた。
半袖の白いセーラー服と合わさってとても眩しい。
「ユキ、突然飛びつかないの!」
若干睨んでそういうと、ユキはてへっとわざとらしく舌を出した。ので、白々しい目で見てやった。
「ごめんごめん、テスト明けでテンションおかしいんだよね」
ユキは懲りずにそう言って笑った。
でも確かに、今日の校門前はいつもより賑やかだ。
勉強からの解放感のせいか、学校が三時に終わった喜びからか、空がいつもよりクリアに見える。気がする。
「ところで、青は?」
ユキが辺りをキョロキョロ見回しながら言った。
「あ、さっき飲み物買いに行ったからそろそろ、どわっ!」
今度は誰かが抱きついてきた。
まだまだ暑いのに紺色のカーディガンを着た細い腕。
がっしり掴まれて振り向けないけど、これはたぶん、いや間違いなく青だ。
「いや、あんたら登場パターンおんなじかよ!!!」
思わずツッコむと青は抱きついたままスポーツドリンクのペットボトルをふるふると振った。
「お待たせしましたー」
私が青の手を引き剥がして軽く睨むと、青はまたペットボトルを振った。
「まあ、そろったし帰るか!」
そう言って先に歩き出したユキを、私と青は慌てて追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!