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「あ、でもやっぱりこっちはついてるのかしら。どれどれ……」
ズボンを脱ごうとベルトをはずそうとする「俺」……見たくない……。
「やめろよ!」
「俺」がぴたっと動きを止めて俺の方を見た。やっぱりどう見ても俺だ。自分の事は良く分かっている。問題なのは、何故俺が「俺」を見ているのかという、目の前の現象だ。
「……分裂した?」
「違うわよ」
即答。
「でも、俺も俺であんたも俺だから……それってつまり……分裂したってことだろ?」
「自分がアメーバだっていう自覚でもあるわけ?」
そうじゃなかったら、俺が「俺」と対面しているクレイジーな状況、どう説明すれば良いんだ。
「そもそも、今のあなた見てみなさいよ」
そう指摘されたので自分の体を足先まで見た……はずだったが……無い。足先が。靴もない。いや、靴が無いというよりこれは……。
「分かってもらえた?」
何を分かったというのだ。何故目の前に「俺」がいて、俺の声で気持ち悪い女口調でズボン下ろそうとしているのかという事か?それとも何故、俺の足首から下が消えているのかという事か?
「あー混乱しちゃってるみたいね」
と「俺」が俺の肩に手を当てようと腕を伸ばし、その触感を一切感じず、「俺」の手が俺の体を通り抜けたことで俺は初めてこの仮説にたどり着いた。
「幽体離脱……?」
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