*初めての

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「あ、いっ……!」  (くび)れの辺りまで入れたところで、葵咲(きさき)ちゃんの身体に少し力が入る。  まだほんの先端が侵入しただけなのに、彼女は喉の奥を引きつらせたような声を出した。顔も、眉根が寄ってとても苦しそうに見えた。 「葵咲、今日はもう、やめようか?」  余りに痛そうに見えたから、思わずそう言って腰を引きかけると、「イヤッ。やめな、いで。……大、丈夫だからっ」と僕にすがりつくように葵咲ちゃんが抱きついてきた。  自然僕の胸に、葵咲ちゃんのあらわになった胸が押し当てられて、僕は気が遠くなるほどの恍惚(こうこつ)感に包まれる。  途端、葵咲ちゃんの中にほんの少し侵入させていたものが、硬度を増して存在を主張する。  優しく抱くと決めたのに――。  僕は彼女の中に自分自身を深く埋めたくて堪らない衝動に駆られてしまった。 「葵咲っ……ごめんっ。僕が、限界みたい……」  葵咲ちゃんをぎゅっと抱き寄せると、僕は彼女の中に硬く張り詰めた屹立を、一気に深く差し込んだ。 「――あんっ……!!」  途端、背中に回された、葵咲ちゃんの指に力が入る。  ぴりりとした痛みが肩甲骨の辺りに走ったけれど、彼女が今味わっている痛みに比べたら、なんてことないだろう。 「理人(りひと)、どうしよ……。すごく、痛いっ」  混乱からか、日頃なら絶対に言わないようなことを、涙をこぼしながら素直に言う葵咲(きさき)ちゃんが、物凄く可愛く思えた。
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