フェードアウトは許さない

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 素直に告白しよう。  僕は、初めて見る夏服姿の葵咲ちゃんに、すごく興奮した。  少し見ない間に、何て魅惑的に成長したんだろう!  白いセーラーブラウスをツンと突き上げる女性らしい丸いふくらみの双丘(そうきゅう)。あれに触れられたなら、どんなに心地いいだろう。  彼女の色香に吸い寄せられるように、僕は思わず葵咲ちゃんを抱き寄せてしまっていた。  頭上から降り注ぐ蝉時雨(せみしぐれ)が、耳の奥でわんわん響いている。  つい今し方まで身を(ひそ)めていた鳥居の陰に葵咲ちゃんを連れ込むと、柱に彼女の背中を押し付けて退路を断つ。突然の僕の暴挙に驚いた彼女が、僕を見上げながらキッと睨みつけてきた。  例えその表情がどんなものであったとしても、今この時、間違いなく彼女は僕を見てくれている。そう思うと、その視線が(たま)らなく僕を奮い立たせた。  睨んでも僕がひるまなかったからか、彼女の愛らしい口が、抗議の声をあげようと息を吸い込む。  だが、僕は、彼女が声を発するのを許さなかった。
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