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今日はパブで少しだけ酒を飲んだ。ひとりでカウンターで飲んでいたところを知らない女が話しかけてきた。   「あなた、疲れたお顔をなさっているわ」   ふわふわした茶色い髪を胸のあたりまで伸ばしていた。初めてきたパブで使い勝手の分からなかった私は、女の誘いの断り方も分からず戸惑っていた。   「何よ興味がないなら最初から一人でこんなところにいないでちょうだい」   女が突然怒り出した意味が分からないまま外に出ると、なるほど、ここは娼婦が住む町だったわけだ。今夜の相手が見つけられなかった女はさぞかし困っていることだろうとなんとなく思った。   列車に乗り遅れる前に私は急いで駅へ向かった。夜は更けおそらくこれが今日最後の列車なのだろう。いつも人の少ない車内がさらに空いていた。   当然ながら私の前の席は空席だった。酒のせいもありいつもより簡単に瞼が閉じる。自分から発せられる酒の香りとさっきの女の香水の匂い。それにまざって現れた腐臭。
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