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プロローグ
ギギ
軋ませながらネジを回す。
オルゴールから音樂が流れ出す。
それと一緒にクルクルと回りながらバレエのアラベスクのようなポーズを取った女の子が踊り出す。
機械だから心は無いはずだけど、本物みたいに
しなやかに、愉しそうに、嬉しそうな顔をしながら踊っている。
僕はそれを眺めているのが好きだった。
よく、
音樂が終わりそうになると、
女の子もゆっくり回るスピードが遅くなって、どんどん機械だと改めて認識させるように動かなくなっていくのが嫌で、もう一回!もう1回!と父にせがみ、ネジを回したものだった。
今思えばそれが現在の仕事へ就くきっかけだったのかもしれない。
僕は今、機械技師になっている。
女の子のロボットを作っているのだ。
バレエの衣装を着た、あの時の女の子みたいなロボットを。
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