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「みぃ~つけ~たぁ~ 」
男はニタアっと不気味な笑みを浮かべながら俺の額に顔を近づけながら話してきた。笑顔の中に血走る眼孔で俺を見つめる男はまさに恐怖そのものだ。
「う、うわああああ! 」
俺は声が張り裂けるような大声で叫び運転席の方へ走った。俺は先日、死んだ警官から奪った拳銃を使い運転手を脅してバスを止めさせる手に出たが‥
「く、来るな! 撃つぞ。お前も早くバスを止めろ」
俺が運転手のこめかみに銃口を突きつけると‥
「無駄だよ。どうせ君は籠の中の鳥だ」
前方の俯いた1人の少年がポツリとつぶやいた。深くかぶった帽子を取り俺を見上げたそいつは‥
「た、田村‥ 」
いじめていた田村だった。すると‥
「あ~らら、こ~ら~ら。い~けないんだ、いけないんだ。せ~んせいに言ってやろう」
「な、何だよ」
田村がポツリと歌い出すとバスの乗客が一斉に歌い出した。乗客はすべて俺の悪事で被害を受けた関係者だ。
俺が事故を起こして死んだ子供の両親や、いじめで自殺した奴の家族、恨みを持つクラスメートなど俺の被害の関係者だった。
「お前のせいで人生も金もすべて失った」
乗客すべてが執行人だった。そして
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