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すると、見知らぬ、眼鏡をした男が、俺の目の前の席に腰かけた。
「初めまして。塩川 優さん。」
その男は、抑揚のない機械的な声でそういった。
「どうして、俺の名前を知ってる。」
少しの動揺を隠しながら聞く。
「どうして。」
男は少し考え込むようなそぶりを見せた後、言った。
「それは、あなたに用があったからですよ。」
「用?俺にか。」
「ええ、あなたに。そんなに警戒しないでくださいよ。」
「知らない奴がいきなり話かけてきて、しかも、名前を知ってたら誰だって警戒するだろ。しないほうがおかしいに決まってるだろう。」
俺がそういうと相手は不敵な笑みを浮かべた。
「まあまあ、安心してください。私は、あなたの助けになりたいんです。」
「助けだと。」
「えぇ、助けです。貴方は、今、お金に困っている。そうでしょう?」
「俺たちの周辺を嗅ぎまわっていたのは、お前だったのか。」
「それは、お答えできません。」
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