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EP1-1
珈琲の匂い 染み付いた壁 粋なジャズ 半地下
喫茶処「りていく」
「それで、ストーカーを辞めたいから、あなたと彼の縁を切ってくれと」
今回の依頼はそれでいいですか?高橋美里さん…でしたか。と、翔は眼鏡を上げて依頼者を見据えた。
「はい…お願い致します…」
なで肩の女が俯いて答える。
「良いんですか~?高橋さん、その彼のこと好きだからストーカーしてるんですよねぇ?諦めちゃうんですかぁ?」
珈琲を片手に結があっけらかんと呑気に言った。
彼女はグッと手を握りしめ、唇に力が入る
「こんな自分が…嫌なんです…」
彼女は一層肩をすぼめ、俯く。
「念の為、伺いたいのですがぁ、どんな事されていらっしゃるんです?」
マフィンに手をかける結
「言わないと…ダメですか?」
「一応聞かせていただけると仕事はしやすいですねぇ」
あ、マスター珈琲もう一杯ねと、マスターに告げる。
白髪で長身のマスターが無言でニコリと目を細めた。
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