EP1-1

1/1
前へ
/8ページ
次へ

EP1-1

珈琲の匂い 染み付いた壁 粋なジャズ 半地下 喫茶処「りていく」 「それで、ストーカーを辞めたいから、あなたと彼の縁を切ってくれと」 今回の依頼はそれでいいですか?高橋美里さん…でしたか。と、翔は眼鏡を上げて依頼者を見据えた。 「はい…お願い致します…」 なで肩の女が俯いて答える。 「良いんですか~?高橋さん、その彼のこと好きだからストーカーしてるんですよねぇ?諦めちゃうんですかぁ?」 珈琲を片手に結があっけらかんと呑気に言った。 彼女はグッと手を握りしめ、唇に力が入る 「こんな自分が…嫌なんです…」 彼女は一層肩をすぼめ、俯く。 「念の為、伺いたいのですがぁ、どんな事されていらっしゃるんです?」 マフィンに手をかける結 「言わないと…ダメですか?」 「一応聞かせていただけると仕事はしやすいですねぇ」 あ、マスター珈琲もう一杯ねと、マスターに告げる。 白髪で長身のマスターが無言でニコリと目を細めた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加