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EP1-4
どうして縁を切らないかってそりゃ
「あなたが嘘をついてるからですよ高橋さん」
高橋美里はその瞬間目を左右に泳がせた
「私は…嘘なんてついてない」
ふぅ、と結は息を漏らした。
「高橋さんがストーカーしてる会社の同部署の斎藤裕さん。私、少し調べさせてもらいました。」
え…と翔と高橋美里は声を漏らした
「高橋さんが言ってること、陳腐な嘘だらけです。」
まず、と結はまたじっと高橋を見据えた
「斉藤さんのマンションの寝室なんですけど、小窓が確かに1つありますがマンションの間にあってどれだけ体をよじっても位置的に見えません」
それから、と結は淡々と続ける
「斉藤さんのゴミなんですが、マンション内の鍵で開けるゴミの集積部屋タイプなんですよ。これ、鍵もってないとゴミまで辿り着けない。」
最後に
「斉藤さん基本的に家と職場とたまにスポーツジムとカフェで仕事する以外、食材の買い物すら行かないんですよ」
だから私聞いたんですよ、ご飯とかどうしてるんですか?って。
高橋美里はぐっと下を見つめている。
彼女が家事全般やってくれていますと、返答頂きました。
「高橋美里さん、あなた斉藤さんの彼女さんみたいですねぇ」
「え!そうなんですか!?高橋さん?どういう事ですか?」
翔が矢継ぎ早に高橋美里に尋ねる。
「寝室の明かりが消えるのも、ゴミも、カフェやスポーツジムの尾行も、一緒に住んでいれば楽ちんですよね」
ニッコリと結が笑う。
「じゃあ高橋さんは、彼氏と別れたかったってことですか?」
翔が高橋に尋ねるのを結が手で制した
「違うね、高橋さん、あなた自分が抑えられなくなってしまってるんでしょう?恋人への依存、、まぁ現代は何でも医者は病名をつけたがります。オセロ症候群…でしたっけ?」
結は冷めてしまった珈琲に口をつけた。
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