雅紀・すまん、あれから半年が過ぎちゃった

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雅紀・すまん、あれから半年が過ぎちゃった

 あれ? あの謎は? って思っただろう。ってか、あれからいろいろありすぎて、それどころじゃなかったんだ。ホント、カンベン。  まず、オレのことをちょこっと話しておきたい。  オレの入った商業高校は、県内でも唯一自由な取り組みの授業をしている。生徒たちがアプリの開発や、世間に好まれそうなゲームなど作成できるように力を入れている。  だから在学中に、ゲーム制作と情報処理の検定一級を取得するというのがオレの目標。卒業後はさらに商科大学へ進み、ベンチャー企業を立ち上げるっていう人生設計をしていた。  ホントにこの6か月、すんげえ早かった。怒涛の勢いってこういうことを言うんだって思う。 *****  えっと、過去のことはとりあえず置いといて、今だ、今のことでオレは忙しい。  オレはその夜も9時前に部屋へ鍵をかけ、自分の部屋に閉じこもった。ドアには、【絶対にノック禁止・静かにしろ】という紙を表示してある。  準備は整った。さあ、ショーの始まり。  オレの部屋には大きなモニターが三つある。ウェブカメラに視線をあわせた。グリーンの背景色に戦国時代の武将の絵姿が映っていた。  これがオレ。武丸くんだ。 «皆の者、達者でおったか。わしは今宵もここにこられてうれしい»  10月に入ってから、念願のバーチャルYouTubeでライブ2Dを発信していた。厳つい感じの武将の絵を購入し、カスタム化してオリジナルの絵に仕上げていた。だから、オレの武丸はこの世でひとりだけ。  もちろん、誰にも内緒でやってる。だから、声も口調も変えていた。  今日で三回目だ。映画なんかの大して重要じゃない話しかしていないのに、こんな姿だからか、興味を持って見てくれている人も多いようだ。チャンネル登録者が少しづつ増えている。
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