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 大型連休が終わり、二日間だけ通常勤務をしたら、すぐに週末になった。だが、連休後半に続けて有給を取った職員もいるので、職場は少し寂しく、のんびりした雰囲気だった。  職場にも近所にも、もちろんレンコンをいただいた1階の平野さんにも、お土産を配り終えた。  東京のデパートで購入したクッションは新しいソファにぴったりの色合いだった。西澤は、大きすぎる、と文句を言ったが、啓子が「大は小を兼ねる」とねじ伏せた。  啓子たちは、久しぶりに家でゆっくり過ごした土曜日の夜、京都で買った消費期限ぎりぎりの蕪の漬物が乗った皿を挟み、ダイニングテーブルで湯あがりのビールを楽しんでいた。明日は溜まった洗濯と掃除をして、スーパーにも行かなければ、などと話していた。 「蕪もうまいな」と、テーブルの向こうで西澤が言う。 「わたしは蕪がいちばん好きかなあ。あ、つーちゃん、しばらくは綾を通さないで、直接注文してね」 「ああ、そうか、そうだな。あ、綾子さん、あれから何か言ってきたか?」 「ううん。果凛からは短いメールが1本。もとに戻った、って。どういう『元』かはよくわからないけど」 「堀田さんもなあ」と言って、くくっ、と笑う。 「なに」 「いやあ、京都はいろいろと刺激的だったなあと思ってさ」 「東京だって、わたしには強烈だったよ。あ、つーちゃん、実家からなんか言われた?」 「いや、なあんも」 「わたし、出禁かな」 「出禁結構。大歓迎」 「西澤家の堀田さん的ポジションかあ」 「啓ちゃん」と、蕪の漬物をひと切れ、口に放り込んだ。  いい音を立てて二、三度噛み砕く。「俺たち、実家とはやっぱり距離を置いておこうな。実家の世話にならなきゃならない、なんて状況は極力避けよう。そうならないように、ふたりでちゃんとやっていこう」  西澤をじっと見ていた啓子が、ふふっ、と笑った。 「おんなじ」 「え?」 「これまでとおんなじ。『ふたりで』っていうとこが『ひとりで』やったけど」 「ああ、そうか。そうだな。俺も、そういえばそうだったな。ひとりで老人ホームに入るつもりだったから」
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