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4月も下旬になってくると、学校生活は落ち着きを取り戻していった。オリエンテーションを通して違う小学校から入学してきた生徒たちとも少しずつ話が出来るようになってきた。
そして私は凛ちゃんの推薦で学級委員長をすることになった。部活動は予定通りオーケストラ部に入部。毎日厳しい練習についていくのがやっとだった。
凛ちゃんは弓道部へと入部していた。練習が緩く、そこまで厳しくないらしい。
そしてクラスにも少し変化が表れてきた。女子たちはいくつかのグループが出来上がり、ひと際目立つグループは早くも先生たちに目を付けられていた。
そんな中、ある日凛ちゃんが興奮気味に声をかけてきた。
「由菜!知ってる?」
「な、何を……?」
私は凛ちゃんの様子に少し気圧されながら答える。
「すっごいカッコいいバンドマンがいるの!」
「バンド、マン……?」
そう!と興奮気味に話す凛ちゃん。
そのバンドマンと言うのは、あるバンドのベースを担当しているそうだ。普通バンドというとボーカルが人気になる場合が多い中、そのベースのバンドマンはボーカルを差し置いてかなり人気になっているらしい。
「突如ライブハウスに現れた、ベーシスト!ってウワサになってるんだよ!」
凛ちゃんが興奮してそう言うと、その声が聞こえたのか遠くにいた女の子がこちらを振り向いた。
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