16人が本棚に入れています
本棚に追加
「私、その人知ってる~!隼斗でしょ?」
そう言って近付いてきたクラスメイトの名前は杉浦桃子さん。クラスでいちばん目立つグループのリーダー的存在だ。私は、杉浦さんが少し苦手だった。
薄っすらと茶色の髪の毛を肩まで伸ばしていて、毛先は少し巻き髪のようになっている。メイクも凛ちゃんよりもハッキリと分かるメイクをしており、良く見るとカラーコンタクトもしているのだ。生徒指導室に何度も呼び出されているのを私は知っている。
そんな彼女が私たちの会話へと参加してきた。
「隼斗、めっちゃカッコいいよ~!」
「えっ?杉浦さん、見たことあるの?」
「桃子でいいよ~。私、色々なライブに行くから、間近で隼斗見たことあるの」
「羨ましい~」
凛ちゃんは臆することなく杉浦さんと会話をしていた。私はどこか置いてけぼりをくらったような感覚で、その様子を眺めていたのだが、
「ね!由菜もライブ行かない?」
「は、い?」
突然凛ちゃんから話を振られて間の抜けた返事をしてしまう。
「それいい!委員長、地味すぎるし、隼斗に会ったら変わるかも~」
杉浦さんはそんなことを言ってくる。
(地味すぎる……)
私は少しショックを受けたものの、そんな私の様子をよそに、凛ちゃんは話を進めてくる。
最初のコメントを投稿しよう!