16人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ朝の寒さが厳しい春に、私は中学生になった。
これから始まる中学生活に思いをはせながら、なんだか改まった気持ちで小学校とは違う大きな校門をくぐる。小学校とは違って校庭に遊具の姿は見られない。広く大きなグラウンドを眺めていると、遠くから声をかけられた。
「由菜~、おはよう」
「あ、凛ちゃん。おはよう」
私に駆け寄ってくれた彼女の名前は鈴木凛。小学4年生の時に始まった部活動で同じになって仲良くなった女の子だ。凛ちゃんはいつも薄っすらとメイクをしていて、美意識が高い。中学の入学式である今日も薄化粧をして髪型もばっちり決めている。
真っ黒でツヤツヤしたショートボブヘアーの凛ちゃんは、綺麗にメイクされた目元をぱちくりとすると、私に話しかけてくれた。
「由菜、クラス発表見た?なんと、私たちやっと同じクラスになれたんだよ」
「ホント?」
凛ちゃんからもたらされた思わぬ報告に私は急いで配られていたプリントのクラス発表の欄に目を通す。
そこには間違いなく、私の名前と凛ちゃんの名前が同じクラスの欄に載っているのだった。
「本当だ!やったね、凛ちゃん」
「うん!知ってる人が誰もいなかったらどうしようって不安だったから、嬉しい」
凛ちゃんの弾んだ声を聞いて、私も嬉しくなる。
最初のコメントを投稿しよう!