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キーンコーンカーンコーン
私がクラス発表を確認した後すぐに、学校のチャイムが鳴る。私と凛ちゃんは急いで教室へと駆け込むのだった。
真新しい制服に身を包み、少しぎこちない動きをしているクラスメイトたちからは、緊張が伝わってくる。それは私も同じで、ドキドキしながら自分の席を探す。
見つけた。
私と凛ちゃんの席は少し離れていたが視界に凛ちゃんの姿が入るので、私の緊張をそれだけで少しほぐしてくれた。
席に座ってしばらく待っていると教室の扉が開く。クラスの視線が一斉に教室のドアへと向き、そこに現れた人物を目で追っていく。
「皆さん、はじめまして。おはようございます」
先生の挨拶に緊張がピークに達した私たちは硬直して声も出せない。
「どうしたんですか?元気がないですね。皆さん、おはようございます」
「お、おはよう……」
「ダメです。大きな声で挨拶をしましょう。小学校で習わなかったんですか?」
先生の低く落ち着いた声に、クラスメイトたちが顔を見合わせる。
「皆さん、おはようございます」
「おはようございます!」
「よろしい」
大きな声で挨拶を返したことにより、先生の顔がほころんだ。私はそんな先生の姿をじっと見つめている。先生は黒板に『遠山広美』と書いていた。
「私は遠山広美と言います。皆さんの担任で、社会科を教えていきます」
遠山先生は教壇の上で眠そうな声で自己紹介をしてくれた。少し低い身長でずんぐりした体形の遠山先生の声は聞いているこっちまで眠くなってしまうような、そんな安心感を私に与えてくれた。
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