16人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、皆さん。これから入学式が体育館で行われます。廊下に出席番号順に並んでください」
先生の言葉に私たちはおずおずと席を立ち、廊下へと足を向ける。大体同じくらいの背丈の生徒たちが、男子と女子、1列ずつで出席番号順に並ぶ。
「体育館に移動します。前の人について行って下さい」
遠山先生の言葉に、私は再び緊張してしまう。これからいよいよ入学式が始まり、私は正真正銘の中学生になるのだ。
体育館に一歩足を踏み入れる。一斉に保護者席の保護者と在校生の先輩たちがこちらを見た気がした。緊張して顔が上げられない。バクバクとうるさく鳴る心臓を叱咤しながら、用意されていた自分のパイプ椅子の前へと立つ。
「在校生、起立」
新入生が全員体育館に揃ったのだろう、ざわざわとしていた体育館に先生の声が響く。それが合図となり、今までざわついていた空間にピリッとした空気が張り詰める。
「ただいまより、入学式を始めます」
いよいよだ。
私はしっかり前を向いて誰も立っていない壇上を見つめる。
式は問題なく進んでいく。校長先生が壇上へと上がり、私たち新入生を優しく歓迎してくれた。そして、
「これで、入学式を終わります。続きまして、始業式を始めます」
無事に入学式が終了したのだった。
続いて始まった始業式では、在校生である先輩方への校長先生の挨拶を始め、新しい学年の過ごし方、注意事項などが次々と説明されていく。
最初のコメントを投稿しよう!