彼女と僕とプリムラ

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4月。別れと出会いの季節。 そんな時期だった。彼女に出会ったのは。 「…綺麗な花」 高校生になりクラスになじめなかった僕は休み時間に一人で校舎裏の花壇に来ていた。 そこには小さい綺麗な花と美しい先輩がいた。 「この花、プリムラっていうのよ。」 と彼女は言った。それが彼女と初めて交わした言葉だった 日を重ねていくに連れて彼女の事が段々と分かってきた。 彼女は3年生で園芸部の部長。 一番好きな花はプリムラで誰も使わない花壇いっぱいにプリムラを植えて育てている。 そして休み時間にプリムラを見に来ていることを。 「君も花が好きなんだね。」 と彼女は僕に微笑みながら語りかける。 その笑顔が純粋すぎて本音を言えない。 「僕は花が好きなんじゃなくて貴女が好きなんです。」 そう言えたらどんなに良かったか。 月日は流れもう一度春を迎える 美しい彼女は卒業した。 花のような彼女はもういない。 彼女と僕はもう会えない。 だって僕らを繋ぎ止めていたのは憎いぐらいに綺麗な花壇いっぱいのプリムラだったのだから。
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