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「…………」
今度は、江藤君が呆気にとられたように黙り込んでいる。
うわ、わわわわわわ!なにこれ、すごい恥ずかしい!
心の中でじたばたしていると、「おーい」という声とともに、再び扉をドンドンされた。雰囲気を思いっきり壊された。
「大原さん……。結構、やるよね」
「や、やめてよ……」
「好きだよ、そういうところ」
そう言って、私の大好きな笑顔を見せた。
「もう……」
どちらからともなく、手を繋いだ。扉を出たら、多分この手は離してしまうけれど。それでも、嬉しい。
ふたりで一緒に、階段を上っていく。
江藤君の隣にいると、目の前の景色が、途端に色彩豊かに見えてくる。ああ、また描きたい気分になってきた。
聞こえるか聞こえないかくらいの声で、江藤君の耳元に小さくささやいた。
「私も、大好きだよ」
〈完〉
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