6.ペガサスのつばさ

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「…………」 今度は、江藤君が呆気にとられたように黙り込んでいる。 うわ、わわわわわわ!なにこれ、すごい恥ずかしい! 心の中でじたばたしていると、「おーい」という声とともに、再び扉をドンドンされた。雰囲気を思いっきり壊された。 「大原さん……。結構、やるよね」 「や、やめてよ……」 「好きだよ、そういうところ」 そう言って、私の大好きな笑顔を見せた。 「もう……」 どちらからともなく、手を繋いだ。扉を出たら、多分この手は離してしまうけれど。それでも、嬉しい。 ふたりで一緒に、階段を上っていく。 江藤君の隣にいると、目の前の景色が、途端に色彩豊かに見えてくる。ああ、また描きたい気分になってきた。 聞こえるか聞こえないかくらいの声で、江藤君の耳元に小さくささやいた。 「私も、大好きだよ」 〈完〉
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