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「……マリカを知ってるの?」 「ああ、何度か話したよ。いつもおまえのこと、気に掛けてた」  ──ああ、マリカ。  マリカのことを思うと、胸が熱くなる。  僕とマリカは一心同体だ。  マリカは僕の一部だし、僕もマリカの一部なんだ。  何故なら── 「僕とマリカは双子なんだ。見て分かると思うけど」 「………」  仁という男を百パーセント信用した訳じゃないけれど、マリカを知っているなら、少しは話してもいいかと思った。 「まるで鏡に映したみたいにそっくりだろう? 性別は違うけど」 「………そうか」 「僕は生まれた時から体が弱かったから、ほとんど外に出たことがないんだ。マリカだけが、ずっと側にいてくれた」  自分のことを誰かに話すなんて、初めてだ。そもそもマリカ以外と話すのも、久しぶりだった。  仁は、神妙な顔をして耳を傾けていた。 「ずっと家に閉じこもるしかない僕に、マリカはいつも色んな話を聞かせてくれた。友達のこととか、仕事のこととか……マリカは話すのが上手なんだ。いつも夢中になっておしゃべりして、気が付いたら夜中なんてこともしょっ中だよ。僕たちは、本当に楽しく過ごしていたんだ……あんたのボスが現れるまで」  あんたのボス、と言うところを少し強調して言うと、リンはじろりと仁を見た。
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