95人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
「──まだ起きないのか? おい、量を間違えたんじゃないだろうな」
「まさか! ちゃんと適量だって。薬の免疫がないんだろう、効き過ぎてる」
「ま、免疫はないだろうな」
──ん。
この声……仁、帰って来たんだ。
話してるのは、マスターだ。
いつの間に眠ったんだろう?
……体が重い、目が開かない。
「……それで? 出どころが分かったんだってな」
マスターが、仁に問い掛けている。
「情報が早いな。俺もさっき聞いたところだぞ」
「シュリ会の奴らが店に来てたんだよ。ああ、もう帰った。てっきりアジア系だと思ってたんだけどな。十中八九、香港あたりかと踏んでたんだが、欧州だって? ……それも北の方の」
「……そうらしいな」
何の話をしているんだろう?
ああ、早く起きないと。
「──なあ、この嬢ちゃん」
「こいつは関係ねぇ。こいつは……ボス絡みだ」
「そのボスが、あんた捜してるって聞いたが」
「………」
「仁。何か、ヤバいことになってんなら……」
「なってねーよ。こいつは本当に関係ねーんだ」
「周りもそれで納得してくれればいいがな。嬢ちゃん、どう見ても北欧の血筋だろう」
最初のコメントを投稿しよう!