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青いバラってあるでしょう。
人間が手を加えて加えて加えて、何十年も、志だけならきっと何百年も、執着して生まれた花。
不可能、非現実なんて言われていた青いバラが今や“神の祝福”だとか“夢がかなう”だとか言われているの。反吐が出るほど素敵な話。すごいわ、すごいわ。
人間が人間の執着で生み出した怪物も、見た目が神様から与えられた美しい器のままであれば奇跡だなんて呼んでもらえるのよ。素敵な話ね。神様が祝福し愛したのは自然のバラだけ、青いバラは人間が勝手に執着して生み出した怪物なのにね。
所詮、人間はみんなそうだ。
努力した。
夢という言葉が大嫌いだった。
不確定要素にしがみついて潰えていく人間の姿が九割、不確定要素を確定させて成功した人間が一割。
努力した。
夢かなった人間とやらの言葉は素晴らしかった。努力と才能と運をすべてつぎ込むことのできた賜物はやっぱり美しかった。
努力した。
夢は嫌いだけど計画は嫌いじゃなかった。
夢でなくせばよかった、実現可能にすればよかった。
そのために何かが欠けているのならカバーしなくてはならない。奇跡が起こせないのなら奇跡の熱量に近い事象を努力で起こさなければならない。
才能がないなら努力で、努力と反復を効率的にできないなら時間を使って、時間が足りないなら睡眠と寿命を削って。
努力した。努力した。努力した。
納得するまで、納得させるまで、努力した。
結果、人望と信頼と寿命と希望の潰えた化け物が残った。
どんな素晴らしい才能を持った友人が残ろうと自分の肉親から見放されれば生きていけない、所詮わたしはそんな存在だった。そんなことで悩むんじゃない、騒ぐんじゃない。友人の過去の言葉が鎖のように絡まった。
計画への執着。もうその計画は夢になってしまった。夢は大嫌いだ。
神様の愛さないものに夢があるわけにはいかない。奇跡は起こらない。しがみついて潰える前にどうか、死を。せめて、死を。慈悲を。ああ、神様は愛さない。
わたしは青いバラにはなれない。
もしわたしが生きていたらの話。
全てが潰えて神様にみっともなく縋りつこうとするわたしがもし生きていたら。
肉親から見放されて生きていくのもやっとのわたしが生きていたらせめて友人には、友人たちだけは青いバラになるように尽力しよう。何の役にも立たない化け物が最後に爪痕を残させてくれ。
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