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私は建先輩の二年後輩の大学一年生である。
大学に入学して建先輩と出会ったのだが、私と建先輩は出会うべくして出会ったのだということを知ってしまった。
私のかかりつけの病院で先月、定期検診を受けた時に癒しのスペシャリストからマッサージをしてもらうという機会に恵まれたのである。
アライグマだけどゴッドハンドの異名を持つ彼のマッサージを受けている間は夢の世界へと旅立つことができるともっぱらの評判なのだが、自分の前世の様子も見ることができるというのだ。
私が見てきた世界は、平安時代だった。
天皇の秘書的役割を担う蔵人所の職人で、詳しくいうと『六位蔵人』だったそうな。
そしてなんと、建先輩も私と同じ『六位蔵人』だったということが判明したのだから驚きである。
大学で出会った時からどうして建先輩に惹かれてしまうのか不思議であったが、この出会いは運命だったに決まっている。
だだの同僚だったわけではあるまい。
きっと私たちは情愛関係であったに違いないのだ。
建先輩にも前世で親密だった二人の間柄を思い出してもらいたいと願うあまり、つい昔のように『建殿』と呼んでしまっている。
建先輩も最初は恥ずかしがっていたが、慣れてきたのか黙認してくれている。
という訳で、私はこれからも建先輩のことを『建殿』と呼ぶであろう。
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