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「……は、はあ? どういうことなの!? あんたにも私にも得なんてないでしょ!?」
「いや、俺には得があるから。実は前から俺のこと好きな奴がいて、そいつがうっとうしいんだよ。だから俺が誰かと付き合ったらどっかいくかなって」
そんな理由で付き合ってなんて、乙女心をなんだと……。それにそんなことしちゃ、その子に恨まれるかもしれないじゃない。
「嫌に決まってるでしょ。なんで私がそんなことしなくちゃいけないの」
「えっ、じゃあこのこと月影に言ってもいいのか?」
こいつ、私を脅して何がしたいの。元々思いを伝える予定だったから知られるのはいい。でも自分から言えず他人に言われるなんてそんなの絶対嫌だ。たとえ今から行こうとしても、絶対こいつに先を越される。
「……ゔっ、わかった。ただしフリでいいなら。それと、期間決めて」
「お、案外あっさりだな。どうだろう……その付きまとってくるそいつが離れてくれたらがいいんだけど」
具体的な日数も分からないなんて、もしこのまま長引いて卒業なんて無理。
「条件追加。長くても1ヶ月……つまり5月上旬あたりまで。それでいいなら」
「わかったわかった、それでいいから。じゃ、よろしk――」
そのとたん、私たちの耳にはけたたましいほどのチャイム音が鳴り響いた。ついつい話し込んじゃったな。早く戻らないと。
教室に入ると先生に怒られたのは、言うまでもない。
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