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「ねえ、さっきどこ行ってたの? 真奈って月景と話してるところなんて見たことなかったからさ、気になって」  優弥にいきなり声を掛けられたのは、朝のホームルームが終わった時だった。本当なら、今頃話せてもいなかったのかもしれない。そう思うと、思いが伝わらなかったことに安堵の気持ちが芽生える。 「いや、えっとあいつがいきなり連れ出して……」 「えっ、真奈が連れて行ったと思たんだけどな」  ど、どうしよう。こういう時はなんて言えばいいのかな。まあ私が連れ出したのは真実なんだけど。 「いやあ、俺たち付き合うことになったんだよ。な、真奈?」  は? そもそもこいつに真奈なんて言われる筋合いはないし……。でも付き合ってる風に見せるには名前呼び? ううん、そこまで演じる必要はない。まず優弥の目の前でこんなことするなんて嫌に決まってる。こいつ私をからかってる? そう思うとだんだんイライラが増してきた。  そうだよ、月景に付きまとうにその女子を遠ざかっていくようにすればいいだけ。そういえば、なんていう子か聞いてなかったな……。 「おい日向、何黙ってるんだよ。早く付き合ってるっての肯定しろ。あそこにいんだよ、俺のこと好きって言ってくる奴が」  小声で語り掛けてくる。っていうか、ここにいたの!? は、早くしないと。優弥がいるという恥ずかしさと悲しさを今は放り出す。
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