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放課後になって私たちは言われた場所へ向かった。そこには仁王立ちしている彼女がいる。
「あ、来たわね、ふたりとも。多分そいつは知らないと思うから一応名前を教えてあげるわ。私の名前は神崎香久弥。同じ3年生よ」
随分とデカい態度だなぁ。苦手なタイプ。なんて言われる……かな。
「えっと……何の用?」
「は? 何の用はないでしょ。まさか愛祐くん、こいつに言ってないの?」
そう言って神崎さんが向いたのは月景の方だ。彼は嫌なものを見るような目で彼女をみている。こんなあからさまに嫌にされて、彼女はいいのだろうか。
「いや、だって俺は別にお前のことなんて好きじゃないし、興味もないから言ってなかったんだよ。逆にこんな嫌がってる相手に付きまとうなんて、よほどのバカだな」
「だって愛祐くんは私の王子様なの。怪我をして痛い思いをしていたあの去年の冬。『大丈夫?』って声を掛けてくれたから。周りを通っていく人たちは私のこと無視してたのに、愛祐くんは違った。それがたまらなく嬉しくて好きになっちゃったのよ。たとえ嫌がられても心根は優しいのを知ってるから。だから私はこんなに付きまとうの」
月景意外といい奴じゃん。それにこんなにも思ってくれてるのなら、もう付き合っちゃえばいいのに。こんなに可愛い子なんだし、もったいないなぁ。ちらっと彼の方を見ると、さっきの顔よりもさらに嫌そうな顔になっていた。
「だからそれがうざいって言ってんだよ。いい加減分かれ。俺に対して迷惑しかかけてないし」
「ま、まあ月景。そこまで言わなくても……」
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