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未来の少女
「おばさん、本屋に寄っても良いかな?」
僕は、一緒に大阪に遊びに来ていた自分の母の姉、つまりおばさんに。許可をとって本屋へ入った。
こっちが文庫本のところだから……。
この辺りかな?
あった。僕の好きな、傘立未音さんの本!
まだ買えてないのもあるけど全部面白いんだよな~!
本屋は、本を見てるだけで幸せな気分になれるから、好き。
今日は一八歳の誕生日プレゼントに、とある程度好きな本を買ってもいいって。
どの本を買おうか迷っていた、そんなとき。
近くで、女の子の高くて澄んだ、綺麗な声が聞こえてきた。
「ねえ、私の願いを叶えてくれませんか?手伝ってほしいことがあるの。」
初めは、自分にかけられた言葉だとは思わなかった。
本を見ていて、隣にいる人のことなんて見もしていなかったから。
だけど、「あの、お願いします!」って。
言われて彼女を見ると、この子は僕に頭を下げていて。
その時に気づいた。この子は僕に頼みごとをしているんだ、って。
白い、レースの袖に、淡い水色のワンピースを着た、ポニーテールの清楚な雰囲気を持つ僕と同じくらいの年齢の女の子。
彼女が、僕に向かって頭を下げていた。
「……あ、の……。願いって……?」
そう聞き返すと、彼女は顔を上げて、パアッと明るい表情になって答えてくれた。
「お花畑を、再生してほしいんです!」
……お花、ばた、け?
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