そして、また春が来てくれた

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* ママのせなかは、あったかくて、いいにおいがして、だいすき。 ゆらゆら、ねむたいな。 「……い、舞、ほら着いたわよ」 「うーん、ねむいよ、ママ」 「ほら、見てごらん、ピンクのじゅうたん」 「━━わぁっ!」 ママのせなかからみるせかいは、いつもがみてるよりも、ずっとずうっといろんなものがみえる。 「ピンクのおはな、いーっぱい!」 「舞、これはね、ヒメオドリコソウっていうのよ」 「…ひめどりこ?」 「ヒメオドリコソウ、よ」 「おひめさま!」 「ふふっ。そうね、お姫様のお花ね。」 そろそろおりてって、ママがわたしをせなかからおろす。 ママのせなか、とってもいいキブンだったのにな。 「このお花のね、このピンクのところ。これをね」 おはなをつんで、ママがなにかしてる。 「あっ!ママおはなたべちゃった!」 「これはね、お花を食べてるんじゃなくて、蜜を吸ってるの」 「みつ?」 「そう。虫さんたちの食べる、蜜」 「えー!ママ、むしさんたちのごはんたべちゃった!」 「ちょっともらっちゃった」 「あ、ダメだよママ!いただきますしてないよ!」 ママったら、かってにたべちゃだめじゃない!
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