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0. 全ての始まり
見渡す限りの自然。辺り一面に木々が生い茂り、どこか神聖な雰囲気を漂わせている。そこにあるのは、3つの人影。
「正気か?
地上へ送れるのは和御魂のみだ」
若い男が、別の男の質問に対し頷いた。
「身体が無くとも構いません。
その代わり1つ頼みがございます。
私と最も波長の合う人間に××の髪を授け、私と出逢うよう導いて下さい」
2人の会話を聞いていた女が、クスクスと笑う。
「まあ……中々面白い事を考えるのね。
そんなにあの時×××と化したのが気に入ったの?」
「はい。空高く飛ぶ……これぞ正に自由を具現化した行為。あの感動は忘れません」
若い男は、空を見つめながら言った。
「ふぅん、まあいいわ。
それより、その××の髪を持って生まれた人間の魂を喰らって身体を乗っ取るつもり?」
女がそう言うと男はキョトンとした後にまさか、と笑う。
「その様な愚かな事はいたしませんよ。
…… "共生" するのです」
その答えに別の男と女は顔を見合わせた。
「斯様な奇跡、起きる訳がなかろう! 人間の身体がそなたの力に耐えきれず、弾け飛ぶぞ」
「そうよ!
人間は、か弱いのだから……」
「必ず実現してみせますとも。
それが叶わなければ私の魂をここへお戻し下さい。
地上の平和は諦めますから」
若い男の真剣な表情を見て、別の男と女の表情が硬くなった。
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