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「(芹沢さんって豪傑で良い人じゃない。さっきも沖田君にさり気なく気を使ってくれたし。
乱暴をするような人に思えないけれど……)
芹沢さんにそう言っていただけて、嬉しいです」
葵は芹沢の想像以上の人柄の良さに驚きながら、笑顔で答えた。
暫くすると芹沢は何かを思い出したのか、新見の隣で料理を摘んでいた沖田に問う。
「なぁ、葵の "アレ" も注文しちまって良いな?」
「 "アレ" とは何です?」
質問の意図を理解できなかった沖田が聞き返すと芹沢は鉄扇を取り出し、扇ぎながら言う。
「隊服に決まってんだろうが。
俺達の分は大文字屋に注文したけどよ、そん時は葵は居なかっただろ」
「えっ、隊服!?
壬生浪士組は今後隊服を着るのですか!?」
沖田が芹沢の質問に答える前に、葵は "隊服" という言葉に目を輝かせた。
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*大文字屋……京都・伏見にて創業の呉服店。
現在の大丸松坂屋百貨店。
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