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「何これ……」
「これは一体……」
この奇妙な現象を目の当たりにした葵・沖田の視線は八咫刀に釘付けになった。
「刀が光るなんて……やっぱしこの刀は妖刀やったんや! 仏様、どうか助けとぉくれやす!」
一方刀剣商は瞳に薄らと涙を浮かべ、八咫刀に向かって膝を着き手を合わせて怯えている。
「「信じられない……」」
沖田と葵は刀が発光しているという事実を受け入れる事ができず、同じ台詞を口にした後はただその場に立ち竦んでいた。
そんな中、やがて葵の心にはこの八咫刀に対して "ある感情" が芽生え始め──直立不動のまま、隣にいる沖田に向かってポツリと呟く。
「私、あの光がとても懐かしく感じる」
沖田と刀剣商は、葵の言葉を疑った。
「な……何を言っているんだ?」
「お客はんどうされたんどすか?」
2人が葵の突拍子の無い発言に狼狽える最中、彼女の足はその光に吸い寄せられるように八咫刀の方へと向かって行く。
葵は八咫刀の目の前に辿り着くと、薄らと光る鞘にそっと触れた。
「(何も起きない。でも、何だろう……)」
鞘に触れても何も起きなかったが葵はこの八咫刀に "何か" を感じ、気がつけばその場にしゃがみ込んで鞘を強く握り締めていた。
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