10. 未知の刀と謎の声

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その後────。 どうにか日没までに屯所に帰る事ができた葵と沖田は夕餉と行水を終え、布団に寝転がっていた。 「総司、お前葵に何をしたんだ」 もう1人の同居人、斎藤が葵に聞こえないよう小声で沖田に問う。 「何もしていない……と思う」 沖田と斎藤は壁側に身体を向け、決してこちらを見ようとしない葵の背中に目線を向けた。 実は葵、先程沖田に髪を触られてから恥ずかしさのあまり沖田を直視できずにいたのだ。 その様な理由を当然男2人組が知る筈が無く。 「(今日は芹沢先生と話したり、刀剣商を訪れたりして疲れているのかもしれない) 葵さん、一君。そろそろ寝ようか」 沖田の中で葵は疲れているという結論に至り、いつもより半刻(1時間)程早いが就寝を促した。 「そ、そうね。今日はもう寝るわ」 沖田の提案は彼の顔を直視できない葵にとって好都合であった為、壁を見つめたままそう答える。 そして沖田・斎藤と "おやすみ" の挨拶を交わし、布団の傍に置かれた上総藤四郎・来国真・八咫刀に1度目を向けてから、そっと目を閉じた。
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