11. 集う同士達 ─無自覚の恋─

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「大阪より参りました、佐々木蔵之助(ささきくらのすけ)と申します。 公方様をお守りするべく、皆様と共に行動させていただきます。 以後よろしくお願いいたします」 初めに名乗った青年は、声に非常に張りがあり自信に満ち溢れていた。 「川島勝司(かわしまかつじ)です。 生まれは川島村()、それから……棒術が得意です。 どうぞよろしくお願いいたします」 次の青年は、最初の青年とは対照的にどこか自信なさげな雰囲気を身に纏まとっており内気な性格が(うかが)える。 「佐々木愛次郎(ささきあいじろう)です。 蔵之助と同じく大阪出身です。 京の治安を守るため、精一杯働きます。 よろしくお願いいたします」 そして最後にこちらの部屋へと移動した青年は目鼻立ちがはっきりとしており、非常に整った顔の持ち主であった。 「以上で新入隊士の紹介は終了だ。今後の時間は鍛錬を積むなり、各自好きに使ってくれ」 3人の紹介が終わり、近藤が皆にそう告げると芹沢一派の大半は八木邸へと引き返し、藤堂・永倉・原田──三馬鹿が早速3人に絡みに行く。 「(やはり平助君達は賑やかだなあ。 試衛館に居た時も、食事の後はいつも雑談してたっけ)」 その様子を見て葵の脳裏に3年前の試衛館での生活が蘇り、1人その場で思い出し笑いをした。 ----- *川島村……京都府内に存在。
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