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「そうや、壬生忠見や……って、あんた誰?
ウチは八木家の当主、八木源之丞の息子の為三郎。こっちは弟の勇之助。
そやさかい、別にここに居てもええやろ」
為三郎の言葉に今度は葵が驚きの声を上げる。
「えっ……八木邸が君達の家!?」
葵が固まっていると兄弟と葵の間に沖田が入り込んだ。
「ごめん葵さん、為坊、勇坊。
互いに紹介してやれなくて。
葵さん、この2人は源之丞さんのご子息で兄の為三郎と弟の勇之助。
試衛館一派が八木邸に住んでいた頃こっそり俺と一君の部屋を覗きに来ていて、仲良くなったんだ。
為坊、勇坊、こちらは葵さん。姓は河合だ。
3日前に入隊したばかりだけど3年前に俺と友になってくれた大切な人で、俺の右腕だ」
沖田の言葉を聞いた兄弟は瞬く間に表情を明るくし、葵の傍に寄って袴を掴む。
「そうやったんや。総司兄の友やったら、芹沢センセみたいに怖ないよなあ。
これからよろしゅうね、葵姉!」
そう言った為三郎の眩い笑顔に、葵の母性がくすぐられる。
「(ああ……何て可愛いのかしら! 為三郎さんはこんなにも素敵な子宝に恵まれて幸せね)
こちらこそよろしく、2人共。
非番の時は一緒に遊ぼうね」
今日はもう前川邸へ戻らなければならない為、2人と遊ぶ事は叶わない。
葵は非番の時に遊ぶ約束をし、2人と別れて沖田と共に前川邸に戻った。
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