12. 覚悟の証

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数日後────。 「おい、お前達!」 昼過ぎ、試衛館一派が食後の満腹感に浸っていた頃、芹沢の大声が前川邸に木霊した。 その声に顔を歪め、いかにも不機嫌さを(かも)し出す土方だが、徐に立ち上がり芹沢の居る方へ赴く。 「如何(いかが)した、芹沢先生────ッ!」 芹沢の元へと辿り着いた土方は唖然とした。 何故ならば芹沢は新見達──己の派閥の隊士の他、大きな風呂敷を持った商人を連れていたからだ。 そんな土方を見て芹沢はニヤリと笑う。 「お待ちかねの隊服だ」 「もう仕上がったのか!」 壬生浪士組が大文字屋に隊服を発注したのは約1週間半前である。 あまりの完成の早さに土方は脱帽した。 「へえ、追加注文の分も仕上がってます。 是非見とぉくれやす」 大文字屋の商人のその言葉に土方は踵を返し──。 「全員、直ちに集合!」 大声で自室に居る隊士達を呼んだ。
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