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「先輩には別の幸せを探してほしいけど、その二人に手を下したい気持ちも分かります。本当は俺が代行したいところなんですが、それは流石に嫌ですよね。だから俺、協力します。先輩が無暗に復讐のことを考えずに済むように」  彼の発言が予想外で、反応が追い付かない。  晴也にとって、例の二人は赤の他人のはずだ。彼が代行する理由がない。私が戸惑っていると、彼は聞かれてもいないのに理由を喋りだす。 「先輩の話を聞いてたら、段々腹立たしくなってきました。俺が世話になってきた先輩を弄ぶなんて、本当に良い度胸してますよ」 「……心強いけど、良いの?」 「ええ、勿論。ただ、そうとなれば相当口出しさせてもらいますよ。先輩ったら復讐するって言ってるのに、相手にとって都合の良い言葉を贈ろうとするんだから見てられないです」  晴也は、まず優先順位を付けるべきだと説いた。相手を傷つけ反省を促すことと、私の憎しみを解消することは別なので、同程度に両立することは諦めねばならない。  頭の中が整理されていく。私が求めるのは前者だ。例え望み薄の賭けだとしても、そちらを優先したい。そう晴也に伝えたところ、彼も同じ考えだったようだ。  感情の消化を目的にしても不毛だ。その感情がいつ消えるかなんて、自分にさえ分からない。目に見える成果を求めた方が、私の精神衛生上良いと判断したらしい。
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