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で、今のとこ唯一のオトコ。
ギターのシュン。あたしの相方。もう一人のギタリスト。
ヘタクソで、しかも、それを克服するやる気もないあたしのフォローに回って、すごく真面目に弾いてくれてる。
切れ長の奥二重はちょっと色っぽい。
ふんわりと、いつも綺麗に立ててる茶金髪も、さりげなく欠かさない、右手の親指のネイルもヤツのオシャレ小僧ぶりを示している。
うちで女の子ファンの人気を独占…とは行かず、バレンタインはいつもハルカと接戦だ。
「ねー、ハルカぁ! まだなの?」
柚莉が、ハルカにピックをぽいぽい投げつけながら問いかける。
「もうちょっと! 多分!」
多分の割には、きっぱりとハルカは答える。
あたしたちが待っているのは、新しいヴォーカリストだ。
1週間前に、前のヴォーカルが田舎に帰るとか言って、いきなり辞めて行ってしまったのだ。
柚莉がどこからか聞いて来たハナシだと、地元にいた遠恋の彼女が妊娠しただのなんだの。
辞めたヤツのことなんかどうでもいいけど。
それより、半月後に迫っているワンマンライブの方がよっぽど問題だ。
初めてではないけれど、数ヶ月に一度しか巡ってこないワンマンライブ。
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