鳥籠 -2-

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     *****  夕方、アパートに帰ると、柚莉がテレビを見ながらポテトチップスを勝手に開けていた。 「柚莉、それ勝手に開けないでよ」  頬を膨らませ、ポストから取ってきていたチラシで柚莉の頭を軽く叩く。  柚莉はそんなことも気にかけない様子で、軽く首をかしげながらあたしに袋を差し出す。 「食べる?」 「今いらないよ。何しに来たの?」 「可愛い柚莉ちゃんが来て上げたのにぃ。歓迎してよ」  柚莉とは別のアパートに住んでいる。  あまり離れていないのだけど、バンドでも会うし、そんなに家を行き来することはない。  とはいえ、お互いこの辺で唯一の身内。合鍵くらいは持ってる。 「何か用じゃないの?」  なかなか来ない柚莉が来るのだから、何か用があるのだろう。 「今日さぁ、誰だっけ? あの、ほら…背が高くって…エグザイルのアツシみたいなスキンヘッドでさ」 「誰?」 「んーと…彫り深くって、くどい感じで」 「だから誰」 「名前思い出せないから説明してんじゃん! そんで、ほら、ここにタトゥ入れてた! コウモリみたいな」  柚莉はそう言いながら、つまんだポテトチップスで鎖骨の辺りでくるくると輪を描く。 それで、やっと思い出した。
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