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~プロローグ~
あるところに、決して相見えるはずのない幸福な少女と不幸な王子がいました。
しかしそんな二人には唯一の共通点があったのです。
それは二人とも「魔法の鏡」と呼ばれる特別な鏡を持っていたこと。
その鏡に名付けられた「魔法」とは名ばかりではないことを少女も王子も知らず、毎日ただひたすら大事に鏡を磨いて過ごしました。
そんなある日のこと、王子の元へ嵐と共に一人の招かれざる客が訪れます。
コンコン……。
軽快なリズム感のある音を聞いた王子は中に入るように指示します。
「お前は……?」
王子の指示で中に入ってきたのは王子自身に全く見覚えのない黒いローブらしきものを纏った青年でした。
青年は部屋に入るなり鏡の方へと歩みを進め、すぐ隣で立ち止まります。
「その鏡は魔法の鏡らしいが何も起こらないんだ……何が魔法なんだろうな」
王子は鏡の隣に立った青年に呆れた口調で、何気なくそんなことを青年に言いました。
すると青年はその鏡を優しく撫でながら楽しげに笑って王子に尋ねます。
「クク……君の不幸は誰のせい代?魔法の鏡に尋ねてごらん?」
「えっ……?」
王子は青年の言葉に意表をつかれて、言葉を詰まらせましたが、すぐにその青年の言葉が気になって、ひとまず言われた通りにしてみることにしました。
「ま、魔法の鏡よ。僕の不幸は誰のせいだ?」
王子が緊張しながら鏡に尋ねると、今まで何の反応も見せなかったか鏡が突然眩しい光を放ち、とある光景を映し出したのでした。
そこで全てを知った王子は、それから一体どうしたのでしょう……?
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