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~一章:廻り始めた運命~
ああ、また長い1日が始まってしまうのか。
私はカーテン越しに部屋の中へ差し込む朝日を見ながら、そんなことを思うのがもはや日課になっていた。
「リン様〜!失礼します!お目覚めですか?」
「うん、起きてるよ。おはよう」
私が目を覚ますと、メグは決まってノックをしてから部屋に入ってくる。
メグが部屋のカーテンはすべて開け放っているうちに、私はベッドから体を起こして腕の力だけで這いずりベッドのすぐ隣に置かれている車椅子に自力で乗る。
「それでは参りましょう!」
太陽のような笑顔で、私に言うメグが、今日も眩しく思えた。
メグは毎朝とても元気で、私にその元気を分け与えてくれる。それだけが自分の1日の心の支えだ。
メグに後ろから車椅子を押してもらい、今日も2人で、お決まりの場所へと向かう。この生活にも随分慣れたものだ。
こんな車椅子生活も、もう六年程度になるか。
早いものだ。私のこの使い物にならない脚は生まれつきではなく、ある日を境にこうなってしまったのである。その日は突然やってきた。
いつものように立ち上がって部屋を出ようとした時、地軸が傾き体勢を崩してそのまま床に倒れ込んでしまったのだ。
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