~一章:廻り始めた運命~

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まるで足が自分の指示を拒むように両足に力が入らず、それから何度立とうと奮闘しても、それ以来再び自力で立ち上がることはなかった。 結局数十分その現状と格闘しているとなかなか朝食を食べに来ない私を心配してメイドのメグが私の部屋に様子を見に来てくれて事なきを得たのだが。 しかし、使い物にならなくなったといえど、神経はちゃんと生きているらしく、触れられた感覚もわかるし、叩かれたら痛みも感じる。 それに座ってたら、足の指だって動かせるし、足もジタバタと動かすことができる。 だが、立ち上がることだけがどうしてもできない。 この不可思議な症状に医師は「原因不明の病」や「不治の病」だと断言して治療法も未だに見つからないままだ。 もう二度と歩けることはないのかもしれない。 私はその日から「障害者」として生きることを余儀なくされたのだ。 あの日からもうそんなに月日が経過してると思うと時の流れの早さに畏怖すらを覚えてしまう。 今、私は十四歳なのだが五歳でこの大きな館の主人に引き取られた。 足が動かなくなったその事件が起きたのは、それからさ三年後の冬の出来事。
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