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出逢い
ペットショップのショーウィンドーには、ころころしたまだ幼い小さな仔犬たちが無邪気に戯れている。
各ブース毎に数匹、今流行りのプードルやチワワ等がじゃれたり眠ったり、 その愛らしい姿を惜し気もなく見せつけ、選ばれるのを待っていた。
何気なく見ていると1匹のシーズーに目に留まった。
しゃがみこみ、思わずガラスに張り付くように眺める。
「 ? 」
そんな顔で私の方に仔犬は近づいてきた。
ガラス越しに指を差し出すと、じゃれようと内側から噛みく仕草をする。
小さな小さな手で掴まえようとわたわたして居る姿を見て、思いっきり顔がにやけた。
余程にこにこしていたのだろう。
スタッフさんがそのシーズーの仔犬を抱き上げ、私に向かって微笑んだ。
「 良かったら抱っこしますか? 」
抱き上げた瞬間…………。
目が合った。
千切れんばかりに親指程の尻尾を振り、母犬のおっぱいに吸い付く様に指を甘噛みしてくる。
かと思えば、腕に顔をもたげて微睡んでいる。
落ちた。
私の方が。
可愛くて愛しくて堪らなくなり、一緒に来ていた旦那さんに言ってしまったのだ。
「 この子離せなくなっちゃったぁ。 」
お金ないけど。
「 うちの子になる? 」
見上げている仔犬は、『 なるぅ~!』と言わんばかりにぺろりと指を舐めた。
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