出逢い

1/1
前へ
/2ページ
次へ

出逢い

ペットショップのショーウィンドーには、ころころしたまだ幼い小さな仔犬たちが無邪気に戯れている。 各ブース毎に数匹、今流行りのプードルやチワワ等がじゃれたり眠ったり、 その愛らしい姿を惜し気もなく見せつけ、選ばれるのを待っていた。 何気なく見ていると1匹のシーズーに目に留まった。 しゃがみこみ、思わずガラスに張り付くように眺める。 「 ? 」 そんな顔で私の方に仔犬は近づいてきた。 ガラス越しに指を差し出すと、じゃれようと内側から噛みく仕草をする。 小さな小さな手で掴まえようとわたわたして居る姿を見て、思いっきり顔がにやけた。 余程にこにこしていたのだろう。 スタッフさんがそのシーズーの仔犬を抱き上げ、私に向かって微笑んだ。 「 良かったら抱っこしますか? 」 抱き上げた瞬間…………。 目が合った。 千切れんばかりに親指程の尻尾を振り、母犬のおっぱいに吸い付く様に指を甘噛みしてくる。 かと思えば、腕に顔をもたげて微睡んでいる。 落ちた。 私の方が。 可愛くて愛しくて堪らなくなり、一緒に来ていた旦那さんに言ってしまったのだ。 「 この子離せなくなっちゃったぁ。 」 お金ないけど。 「 うちの子になる? 」 見上げている仔犬は、『 なるぅ~!』と言わんばかりにぺろりと指を舐めた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加